Vol.07421世紀型スキルとは①
これからの社会において身につけるべき資質・能力とは

2017.05

74_pic_02  今、世界は「知識基盤社会」、「高度情報化社会」と呼ばれ、ちまたには知識が溢れ、新しいテクノロジーが日進月歩で開発されてきており、ビジネスや日常生活は急速に変化しています。この21世紀を生き抜く子どもたちが身につけるべき資質・能力とは何でしょうか?その答えの一つが「21世紀型スキル」です。

 これまでの教育では、個人が知識を正確に把握(いわゆる“暗記”)し、与えられた課題を効率よく解くためのスキルが求められ、それを測る手段としてテストが主に用いられてきました。したがって、教員は、学習目標を学習者がどのようにして到達できるかを探ることで、教育を設計することができたのです。しかし、これからの社会では、ビジネスや地球規模の問題だけでなく、私たちに身近な問題でさえ、(従来型の教育による)学校で覚えた知識や技能をそのまま使って解決できることは少なくなっていきます。ましてや、単純な問題の解決手段は、AIに取って代わられるといわれています。つまり、21世紀のこれからは、単に知識や技能を丸覚えするだけでは役に立たなくて、状況や課題に応じてそれらを活用し、社会を構成する者の一人として他者とコミュニケーションをとりながら協働的に問題解決できる資質・能力を有することが必要不可欠である、という時代だといえます。

 21世紀型スキルは、2009年メルボルン大学のバリー・マクゴー(Barry McGaw)を中心に「ATC21S(Assessment and Teaching of Twenty-First Century Skills)」プロジェクトによって定義され、21世紀を生き抜くために必要な10の能力から構成されています(表1)。また、これらは「21世紀型能力」として、我が国においても重視されています。

表1 21世紀型能力

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出典:三宅なほみ(監訳)・益川弘如・望月俊男(編著)(2014) 『21世紀型スキル:新たな学びと評価の新たなかたち』、北大路書房

東京学芸大学教授
森本康彦
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