Vol.241教職大学院のすゝめ

2023.02

1.教職大学院とは

 教職大学院で学ぼうと考えたことはありますか。教職大学院は、高度専門職業人としての教員養成に特化した専門職大学院として2008年に開設され、2022年には46都道府県54大学に設置されています。現職教員(以下、現職)へは「地域や学校における指導的役割を果たし得る教員等として不可欠な確かな指導理論と優れた実践力・応用力を備えたスクールリーダーの養成」を目的としています(中央教育審議会 2006)。

2.現職の教職大学院進学事情

 では、教職大学院で学ぶ現職の実情はどのようなものでしょうか。2022年7月に、東京学芸大学教職大学院に在学中の現職23名へ質問紙調査を行いました。

⑴回答者の属性

 回答者の年齢は30代8人、40代11人、平均年齢39.0歳、平均経験年数16.0年で(表1)、スクールリーダーとなる層がボリュームゾーンであるとわかります。

回答者の属性
表1 回答者の属性(単位:人)
⑵進学理由

 教職大学院に進学した理由を自由回答法で尋ね、表2のように分類しました。なお、複数の理由を含む回答もあります。

進学理由
表2 進学理由

 結果、上位から「キャリア」5人、「研鑽」4人となり、研修や自己啓発を目的する傾向が明らかになりました。

⑶進学時機

 進学時機に今年度を選んだ理由を自由回答法で尋ね、結果を分類しました(表3)。個人的な理由が多いことが読み取れます。

進学時機
表3 進学時機
⑷習得を期待していたもの

 入学前に習得を期待していたものについて、河野(2014)に則り、授業力、児童生徒理解、学校運営力、学校外連携、一般的能力の全26項目を2件法(1:当てはまらない、2:当てはまる)で尋ねました。結果、上位3項目は「社会が直面する様々な問題の理解」(91.3%)、「児童・生徒を評価する方法」(87.0%)「論理的に考える能力」(78.3%)でした。「社会が直面する様々な問題の理解」は、河野(2014)では79.0%で、現在の社会情勢に対する現職の危機感の高さが示唆されました。

⑸満足度

 教職大学院への満足度を4件法(1:満足していない、2:やや満足していない、3:やや満足している、4:満足している)で尋ねました(表4)。

表4 満足度(単位:%)

結果、「総合的に満足している」は91.3%、「他の教員にも勧めたい」は87.0%でした。あなたも教職大学院で一緒に学びませんか。

[参考文献]
中央教育審議会(2006)今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申)
河野志穂(2014)教職大学院学生の能力獲得に対する期待と能力獲得の関係 ~全国教職大学院意識調査の分析~.早稲田教育評論,28(1):89-102

東京都立小山台高等学校
豊田佐和子