Vol.178放課後の歴史・現在・未来③
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 前回は、現代の放課後の「管理化」「市場化」「教育化」「バーチャル化」といった特徴をみてきました。こうした傾向を考えると、家庭の経済格差に起因する子どもの学習・体験・人とのつながりの機会格差の助長という問題は、今後ますます問われることになるでしょう。経済状況に比較的ゆとりのある家庭の子どもたちが習い事や学習塾に通うケースが増え、人とのつながりの中で多様な経験をする一方で、経済的に厳しい状況にある家庭の子どもたちは、そのような体験・学習の機会を自分の力で獲得することが難しくなります。

 また、予め決められたスケジュールの中で時間を過ごしたり、バーチャルなやり取りの中で共通の関心を持つもののみとのコミュニケーションが多くなるということは、地域における子ども主体の仲間づくりや地域づくりを分断させ、困ったときに助け合えるような地域の連帯を生みづらくさせる側面もあります。

 もちろん、こうした子どもの放課後の「管理化」「市場化」「教育化」や「バーチャル化」は、それ自体が悪という訳では決してありません。むしろ、こうした変化を引き受けながら、子どもたちが生き生きと放課後を過ごせる環境をどのようにつくれるのかということを模索していくことが社会全体に求められています。

 東京学芸大学では、子どもの放課後に関する実践研究を進め、放課後の教育モデルを開発することを目的とした研究プロジェクトが動き出しています。
 平成27年度より東京学芸大学パッケージ型支援プロジェクトが推進してきた「東京学芸大学放課後児童クラブ」では、小学校1年生~3年生までの児童とその家庭を対象にした実践を行い、遊びや集団生活を軸に子どもたちの自立を促し、主体性を育むようなカリキュラムや環境構築の仕方、そしてそれを支える支援者に求められる資質能力を養成する仕組み等について開発してきました。

 これらの成果は令和2年度より開始予定の「Miracle Kids Gakugeidai」に引き継ぎながら、実践研究を継続していきます。
 また、令和2年7月からは、新たに「Miracle Labo 武蔵小金井」がオープンし、「Miracle Kids Gakugeidai」とあわせて2拠点の実証フィールドが展開されることによって、義務教育段階の子どもの放課後の場の総合的な研究開発に取り組んでいきます。(注1
 「Miracle Labo 武蔵小金井」では、小学校4年生以上、中学生、高校生を主な対象にして、「遊びを原動力にしたProject Based Learning」を活動の軸に据え、Laboに集まってくる企業や地域の有する人的資源、コンテンツ等をプロジェクト活動の触媒にしながら、子どもも大人も一緒になって夢中で「探究」と「設計」を繰り返し、社会変革を実現していきながら学んでいくことができるような場のあり方について検証します。

 こうした取り組みはまだ始まったばかりですが、今後取り組みの成果については広く発信していきながら、ワクワクするような放課後の場の在り方を一緒に考えていけるような研究仲間を増やしていきたいと考えています。

東京学芸大学
パッケージ型支援プロジェクト
特命助教 田嶌 大樹
注1)「Miracle Kids Gakugeidai」、「Miracle Labo 武蔵小金井」は、株式会社パソナフォスターが運営し、東京学芸大学と株式会社パソナフォスター、NPO法人東京学芸大こども未来研究所、一般社団法人東京学芸大Explaygound推進機構の4者が締結した共同研究契約に基づき、放課後教育のあり方について検証するための実践研究フィールドとして活用されます。
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