Vol.148「日本教育支援協働学会」第1回研究発表大会から③:自由研究発表として行われた教育支援協働に関わる22の発表

2019.05

 2019年3月2、3日の両日に行われた、「日本教育支援協働学会」第1回研究発表大会「実践研究発表」について、ご報告いたします。

 今大会では、4つの分科会を設定し、22組の発表が行われました。紙幅の関係で、全てを挙げることはできませんが、教育及び教育支援・教育協働に関わる多くの取り組みについて報告がありました。(詳細については、学会のHPをご参照ください。)

 その中から、非常に印象的な発表を紹介したいと思います。


 「組みダンスの可能性—組み体操以外の選択肢として—」

 これは、公立中学校・岡本和隆先生とOne and only. Creative株式会社・義井翔太氏の共同発表で、中学校の運動会における「組み体操」に演目として「組みダンス」という新しい取り組みについての発表でした。

 「組み体操」が安全性の面などから、これまでのような形で進められなくなる中で、運動会の花形種目である「組み体操」が大切にしていた部分をしっかり継承する形で、新たな表現可能性を求めたモデルとして実践してきたことを報告されていました。

 この取り組みは、プロダンサーとの外部連携により、教育プロパーと専門プロパーの両面から、「組み体操」の解体と解釈を行い、「組みダンス」へと再構成したということです。また、一方で、学校内行事として実現するために、組織内の理解を得るだけではなく、教員、生徒、保護者に対しても必要かつ大切なアクションであるとともに、最も重要な点は、教員の自己満足で終わるのではなく、生徒自身が自分事として主体的に関わっていくプログラムにならないといけない、ということを強調されていました。

 これまでも、表現の授業としてダンスを行うことはありましたが、個々人が主体のダンスに対して消極的な生徒でも、「組みダンス」の取り組みは連体責任でもあるため、生徒同士がお互いに学習を補完し合うなど、期待以上の成果も見られたということでした。


 日本教育支援協働学会は、教育支援・教育協働に関する学術研究・実践交流を進めていくために、昨年2月に設立されました。また、それぞれの分野・領域の専門家で構成される既存の学会をつなぐハブ的役割を担う学会をめざし、その一方で、既存の学会では扱わないことでも、必要と思われることは「現場の声」としてできるだけ広く取りあげていきたいと考えております。そのため、本学会の学術誌『教育支援協働学研究』は、「Ⅰ—学術研究論文」「Ⅱ—実践報告・研究ノート」「Ⅲ—現場からの声」で構成され、特に㈽については、現状の実態レポートや支援を必要とする喫緊の課題などを提起できる場として活用していただきたいと考えております。

 詳しくは、以下学会HPをご参照いただきたいと思います。

国立大学法人 東京学芸大学 教授 木村守
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