Vol.246外国語活動、外国語科が得意な子どもへの指導―指導実践から―

2023.6

 先生方の指導しているクラスに、英語が得意だと考えられる児童は何人いるでしょうか。これは今後、教員として児童理解の際に考える1つの重要な視点です。令和4年特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめが発表されました。その中では「特異な才能のある児童生徒にとっては、教科によっては、学校の授業で学習する内容が既に知っていることばかりであったり、またその活用の場面が与えられなかったりしたことから、自らの資質・能力を伸ばすことができずに、必ずしも充実感のある学びの時間となっていない場合がある」と述べられています。

 私は学級担任から英語専科教員となり、公立小学校にて3年生から6年生までの児童へ外国語活動・外国語の指導をしてきました。振り返ってみるとクラスに1~2人程度、常に英語が得意である児童がいたように思います。そういった児童は海外での学習経験があったり、習い事として昔から英語を学んでいたりとその理由は様々です。そういった児童がいるクラスで指導をするにあたり、意識して行ったことは、「45分間の授業の中で、誰もが取り組める学習活動」を考えることです。

 具体的には英語が苦手な児童へのサポートを考えた上で、より得意な児童が取り組める活動も同時に考えます。例えば、6年生の教科書、三省堂CROWN Jr.6に”My best memory is‥‥”という単元で、学習してきた英語を用いて、思い出を相手に伝える活動があります。おそらく英語が得意な児童はすらすらと文章を完成させることができるでしょう。そこで伝達内容を完成させた後に、2つの方向で学習活動を展開させるようにします。1点目は、「表現方法の多様化」です。多くの児童はプリントに思い出を英語で書くことで終えますが、得意な児童はその内容をタブレットPCなどでスライドやレポートにまとめることも可能になります。誰が見ても内容が分かるようにイメージ画像や写真を加えてもいいですし、より完成度の高い伝達表現を考えることができます。児童自身で内容をより充実させ、実行できる力を伸ばしていきたいです。

 2点目は「表出する場の確保」です。私が指導した際には、自分の考えた伝達内容をALTや私へ伝える(可能な場合は暗唱も)機会を設けました。得意な児童は自分の考えた文章が、英語らしい発音で言えるか、さらに高い目標を設定することで、学習活動の深まりが期待できます。

 普段の授業が誰もが取り組める学習活動になっているか、私も常に見つめ直してみたいと思います。

江東区立南陽小学校
米山繁
【参考文献】
令和4年9月26日 特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議 審議のまとめ ~多様性を認め合う個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実の一環として~
https://www.mext.go.jp/content/20220928-mxt_kyoiku02_000016594_01.pdf
pdfをダウンロードできます!