Vol.155「教員の働き方改革」①

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 2019年4月に「働き方改革関連法」が一部施行され、私たちの「働き方」は大きな転換期を迎えています。教員を取り巻く仕事環境については、社会の変化に伴い学校が抱える課題が多様化・複雑化する中、教員の長時間勤務も深刻化しています。

 

 このような中で、新しい時代の持続可能な教育の実現に向け、平成31年1月に「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」が示されました。

 ガイドラインでは、教員の残業時間の上限の目安時間を「1か月45時間」「1年間360時間」と規定しています。一方、2016年度の教員勤務実態調査の結果では、公立小学校教諭の8割、中学校教諭の9割がこの上限を超過している現状があります。

 これは、定められている一日の勤務時間が7時間45分であるのに対し、実際には、朝の業務、授業準備から始まり、児童・生徒の帰宅後も、生徒指導、職員会議、翌日以降の授業準備・教材研究、授業評価・成績処理、事務作業などと、様々な業務を抱えている先生方の一日の平均勤務時間が約11時間に及んでいるためです。

 

 この様な状況を改善し、先生方の働きやすい職場環境の実現のため、東京学芸大学EDUAI(AI×教育プロジェクト)では、「教員の働き方改革プロジェクト」を始動しました。

 このプロジェクトでは、過酷な環境がクローズアップされがちな教員の仕事について、負担を感じる業務と、教員の仕事の魅力の両面をどの様に感じているのか?
何が学校現場に多忙化をもたらしているのか、また業務の削減・効率化を阻んでいるのか?これからの未来の教育を考えていく上で、AI等のテクノロジーが貢献ができる部分は?
という点に着目し、調査を進めています。

 この連載では、本プロジェクトで実施した調査結果についてご紹介していきたいと思います。

 東京学芸大学主催の「第2回AI×教育シンポジウム 未来の教育は人工知能(AI)に何を求めるのか?」(2018年12月22日)において、本プロジェクトの紹介を行いました。

東京学芸大学 生活科学分野 准教授 萬羽郁子
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