Vol.239学習効率を高めるための座席配列

2023.01

 児童の座席配置と座席配列、言葉は似ていますが意味は違います。普段よく使われるのは児童の座席配置だと思います。座席配置は教室での机の位置は決まっていて、どこにどの児童を配置するのか決めることです。座席配列は児童の机をどのように並べるか決めることです。普段、学習効率を高めるために座席配置を考え悩んでいる方は多いと思います。しかし、座席配列について深く考えたことはあるでしょうか。今回は学習効率を高めるための座席配列について考えてみましょう。
 まず学習効率と座席配列の関係を考える前にどのような学習活動が教室で行われているのか類型化してみます。

  1. 「レクチャー」内容の説明、問題の解説といった教師から児童への知識の教授の活動。児童は受動的に内容を受け止める。次の学習活動を指示したり、連絡したりするといった活動も含め、教師から児童へ語りかける学習活動。
  2. 「演習」プリント学習・ドリル演習・テスト等、児童個人やグループに課題が与えられ、それに自分の力で取り組む学習活動。児童が自分の力で進めるために、教師は間接的に見守るかたちとなる。
  3. 「討論・発表」ある事柄に対して、お互いの意見を述べあう学習活動。質問を投げかけ、これに応えるために、教師とのみでなく、児童間でも対話がおこる。児童が本を音読したり、成果物を発表したり、質疑応答する学習もこれに含まれる。
  4. 「実習」作品をつくる・料理をする、実験をする等、創作・作業を伴い、児童自らが体験することから学ぶ学習活動。児童が個人・グループ単位でどのように進めていけばよいかを考えながら行う学習活動。

 次に一般的な7m×9mの教室で考えられる座席配列は下の図です。

座席図(リニア型・ペア型・班型・コの字型)
 学習活動と座席配列の関係を考えてみます。リニア型・ペア型は児童全員が黒板を向いているため「レクチャー」や「演習」の学習活動に向いていると思われます。班型・コの字型は児童同士が向き合っているので「討論・発表」や「実習」の学習活動に向いていると思われます。今読んでいるみなさんはどのような座席配列が多いでしょうか。もちろん授業中に学習活動によって座席配列を変更することもあると思います。協働的な学びの解説では言語活動を通じた授業改善として「レクチャー」だけでなく「討論・発表」の例が示されています。学習過程の改善、授業改善をしていくとともに、座席配列も改善してみてはいかがでしょうか。

飯能市立加治小学校
笹島晃