Vol.040総合的な学習の時間の授業づくり①
ゲストティーチャーの発言がきっかけになって

2017.10
 5年生の社会科の発展として行った米作りの体験活動。それをきっかけに始めた団子作り。子ども達は、初めて作った団子を校長先生に食べていただこうと校長室に運んだところ、学校の近くのあんこ屋さんがいらしたので、あんこ屋さんにも食べてもらいました。あんこ屋さんから「おいしいけど、もちもちさが足りないね。」というコメントをいただき、「目標は団子屋さんのみたらし団子」という合い言葉で作り方の工夫が始まりました。水加減やこね方について、子ども同士で情報交換しながら工夫を重ねる子ども達。その姿を見たあんこ屋さんが、「地域のお祭りに団子屋さんを出すといい」と勧めてくれました。それを聞いて、子ども達はさらにやる気倍増で、ますます工夫に取り組みました。そして、ついに自分たちのレシピができて、大喜び。「なかなかうまくできたね。」、「あんこ屋さんにも食べてもらおう。」と子どもたちはあんこ屋さんの反応を期待をしていました。
 
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写真 もちもちさが出たときの記念写真
 
 あんこ屋さんを学校に呼んでできたての団子を食べてもらい、第一声を静かに待ちました。「…。おいしくなったけど…。売り物なんだよね。まだまだだなぁ。」とのこと。  あんこ屋さんが去っていったあと、子ども達全員で話し合いました。「もっともっとうまくならないと。」、「こんなにがんばったのに、まだまだかぁ。」、「どうやればいいんだろう…。」、「まだ何か工夫できることがあるかも。」、「あきらめないでやろうよ。」、「よーし!やるぞ!」。子ども達が本気になった瞬間です。
 
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写真 あんこ屋さんからのお話
 
 子ども達が「課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」のサイクルを重ねていく学習過程は、子どもが本気になることで新しい課題ができ、子ども達の究心力でサイクルの重なりができるように学習の流れを構成していくのがポイントです。  総合的な学習の時間の授業づくりでは、教材研究がもっとも大切です。地域をめぐり、題材を探すこと。例年行われている単元であれば、自分の目で見て、自分の足で歩き回ること。上記で紹介した単元では、ゲストティーチャーとの打ち合わせがとても重要でした。子どもが本気になるために「ダメ出し」を依頼したのですが、あんこ屋さんは、教師との何度も行った打ち合わせから教師の単元づくりの真剣さを感じ取り、「ダメ出し」の必要性を感じて、言いにくい言葉、重い雰囲気づくりに協力してくださいました。それが「まだまだだなぁ。」。この渾身の「ダメ出し」により、子ども達は奮起したのでした。
 
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写真 団子を作る子どもたち
 
東京都港区立芝浦小学校教諭
八木美香
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