Vol.097プログラミングを自ら活用する小学生①
~小4「Safety Signal Makers」で見えてきたこと~

2020.02

道具を選ぶ子どもたち

 「LEDが切れているかも。もう一度回路を見直そう。」「光センサーの値をどうしようか?」「これ、スライドに使いたいから写真撮って!」「この結果グラフにして使おうよ。」様々な声が男女混合のグループで飛び交います。
 子どもたちは、様々な活動でコンピュータを駆使します。文書作成ソフト・表計算ソフトで提案資料やポスターを作り、モデルづくりにはArduinoというマイコンにLEDやスイッチやセンサー繋げ、信号機から鳴る音などもプログラムで作ります。手作りの部分、手書きのポスターなどももちろんOK。材料も道具も、子どもたちは自分たちで選んで決めます。担任の役割は、可能な限り子どもたちの希望を叶える道具を並べてあげる事です。

Arduino(マイコン)やLEDやセンサーを組み合わせて制作

子どもたちの目標設定

 理科と社会のクロスカリキュラム「Safety Signal Makers(以下SSM)」の目標は、最寄りの警察署への「新しい交差点の提案」です。課題の発見や目標設定は子どもたちのアイデアや発言が元になっているため、子どもたちは自分たちが作り上げている「SSM」に責任をもち、前のめりで取り組んでいます。
 子どもたちの知識や技能には差があるので、グループごとの目標設定の他に、個人で細かな目標設定と振り返りをしていきます。上手く行かなければ自分で目標を修正し、取り組み方を改善していきます。

LED12個で制御する砂時計型の信号機モデル

プログラミングは情報「活用」能力に包含される

 文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第二版)」には、「あらゆる活動において、コンピュータなどの情報機器やサービスとそれによってもたらされる情報とを適切に選択・活用して問題を解決していくこと」が重要であると書かれています。「選択・活用」は主体的な意味合いが含まれますが、教師が設定した目標を強いたり、教師の都合で作られた制限(あれはダメ。これは使えない。等)が多かったりする中では、主体性は発揮されづらいものです。願いをもとに、子どもたちが目標を定め、教師が環境を整えてあげることで、子どもたちは生き生きと活動を広げていきます。
 ICTを子どもたちの学習活動に活かすことが求められていますが、ICT活用に包含されるプログラミングも子どもたちの道具の1つになることが理想です。用途や目的に応じて、調理器具や工作道具が様々あるように、プログラミングも目的ごとに子どもたちが選択できるようになれば、本当の意味の「活用」が自然と生まれるはずです。

東京学芸大学附属竹早小学校 佐藤正範
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