新学習指導要領では、主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)が求められています。今回、教科化された特別の教科 道徳の授業におけるアクティブ・ラーニングについて「ルビンの壺」という実践から考えていきたいと思います。
「ルビンの壺」はデンマークの心理学者であるエドガー・ルビンが考案した壺にも向かい合う2人の顔にも見える多義図形です。見方が変わるととたんに違うものが見えるようになる「ルビンの壺」は三好氏の道徳あそびの名前にも採用されています。これを中学年の個性の伸長に関する授業の導入としてアレンジしたものをご紹介します。
小学校学習指導要領解説「特別の教科 道徳」編では、中学年における個性の伸長について「この段階における自分の特徴に気付くということは、自分の長所だけでなく短所についても気付くことであり、特徴を多面的に捉えることである。」と記されています。
この実践では、短所を一面的に見るのではなく、プラスの面からも見ることで多面的に人物の特徴について考えました。これは特別支援教育でも取り入れられているリフレーミング(物事を見る枠組みを変え、捉え直すこと)にも繋がる活動です。また、提示する人物を複数にすると、互いの立場や比較などの視点も加わり、多角的に考えるきっかけにすることもできます。グループで活動にすることで児童同士の協働が生まれ、自己の考えを広げ、深める対話な学びになります。そして、この活動を導入に人物の特徴の見方・考え方から自分自身の特徴について関連付けながら、自分事として考えることで主体的な学びにも繋げることができます。
教科化された「特別の教科 道徳」では、これからもアクティブ・ラーニングなどさまざまな視点をもち、柔軟に授業を考えていく必要があると言えます。