Vol.092「特別支援教育」 子どもが生き生きとする授業の実際②
子どもに応じた教材開発

2019.11

 特別支援教育にかかわる中で、日々感じることがあります。
 それは子ども一人一人に応じた教材を開発することの楽しさと大変さです。子どもに応じた教材により、苦手なことにチャレンジしたり克服したりする子どもたちの姿が見られることは、特別支援教育の醍醐味だと感じています。
 しかし、そのためには子ども一人一人の課題を把握し教材を開発するという大変さもあります。

 ところで、みなさんは子どもたちの教材を作る時、何か気を付けていることはありますか?私は子ども一人一人に応じた教材を作る際、大切にしているポイントがいくつかあります。
 今回はそのポイントを2つ紹介したいと思います。

ポイント① 子どもの「好き」を教材に取り入れる。
 子どもたちが課題に取り組む時、「やってみよう」「やってみたい」と思っているでしょうか。「やらないと…」と思い、課題に取り組んでいませんか?子どもたちが主体的に課題に取り組めるように、と考えた時、私は必ず子どもの「好き」を取り入れるようにしています。

 片仮名を読んだり書いたりすることが苦手なAくん。Aくんは、仮面ライダーやポケモンが大好きです。仮面ライダーやポケモンのキャラクターは片仮名にあふれています。
 そこで、ポケモンのキャラクターの名前を読む・書くカタカナ教材を作りました。Aくんは、「ポケモンのキャラクターなら読めるし書ける!」と課題にやる気満々で取り組んでいます。

ポイント②子どもの処理できる情報量にする。
 Aくんの片仮名教材。1枚にキャラクター1つ?少ないのでは…?確かに、一般的な教材やワークの情報量に比べると、Aくんのカタカナ読み教材の情報量はかなり少ないです。
 それには理由があります。Aくんは情報量が多いとそれが刺激となり、課題に集中することが難しかったり、取り組んでいる課題が何か分からなくなったりしてしまうのです。

 処理できる情報量は子どもたち一人一人によって異なります。教材開発には、子どもたちの情報処理の力を把握しておくことが欠かせません。
 その上で、Aくんのように一度に提示する情報量を少なくしたり、全体を把握するために、ある程度情報量を提示したりする工夫をしていきます。

 子どもの苦手や困難さ、特性などの把握と同様に、好きなことや好きなものを把握しておくことが、子どもの意欲をかきたて、子どもがワクワクしながら取り組める教材を作ることにつながると思います。
 子どもがワクワクしながら課題に取り組む姿を想うと、教材を作ること自体もワクワクしてきますね。

東京都東村山市立萩山小学校 教諭 大塚まり
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