Vol.071主体的・対話的で深い学びを促進する自己評価・相互評価の在り方②
理科「ものの燃え方と空気」の実践から

2019.01

 今回は、6年生の理科「ものの燃え方と空気」の単元でICEモデルのルーブリックを活用した実践について紹介します。

 本単元では、空気は二酸化炭素や酸素で構成されているという見方や、酸素は二酸化炭素に変化するという見方を養っていきます。その中で、物が燃えたときの空気の変化について、より妥当な考えを作り出し、表現する力を高めていきます。

 ルーブリックによる評価活動をより円滑にするために、目に見えない空気の変化を図に表し、説明する活動を取り入れます。そのため、ルーブリックには、「友達に考えを伝えられた」や「図で説明することができた」などの項目が入っています。

 主に3回の実験を本単元では行い、各実験時に空気の動きや物質の変化を図に描き表します。また、各実験終了時にルーブリックを使った自己評価・相互評価を行います。3回の実験は「物が燃え続けるには空気が入れ替わる必要があることを確かめる」「空気にはO2、CO2、N2があり、酸素には物を燃やす働きがあることを確かめる」「物が燃えるとき、酸素が二酸化炭素に変化することを確かめる」です。

 写真1は、ある児童のルーブリックです。銀色のシールが自己評価、その他の色は友達からの評価です。シール内の数字は何回目の実験について評価したかを示しています。この児童は1回目の実験で「友達に考えを伝えられた」の項目にシールが貼られていません。そこで「次の目標」の欄にそのことがきちんと記述し、意識しています。そして、2回目の実験後には、自己評価・相互評価を基に自分の目標が達成されたと判断しています。授業の中で目標が達成されるように主体的に取り組んだのでしょう。

写真1

 ルーブリックによる自己評価・相互評価は、図にも変化をもたらしました。

 写真2のルーブリックの児童は「物の燃え方について図で説明することができた」という項目の振り返りから、「次の目標」に友達に分かりやすい図にしたいという目標をもちました。

写真2

 その児童は写真3のように図が変化しました。初めの図では、粒子を細かく書いていましたが、友達に説明する際には見にくく、考えが伝わりにくいと判断し、割合が分かるように粒子の大きさを大きくして表すようにしました。その結果、友達から分かりやすくなったという評価を受けることができました。

写真3

 このように、ICEモデルを基に作成したルーブリックを用いることで、児童に主体性をもたせることができ、また、相互評価による対話が深い学びへと導くことができました。このルーブリックは他教科でも応用できます。また、このルーブリックを教師が作成することで、児童に何を身につけさせたいのかが明確になり、より児童主体の指導計画が立てられると考えます。アクティブ・ラーニング実現のために、自己評価・相互評価を授業に取り入れてみてください。

東京都渋谷区立西原小学校教諭 後藤勝洋
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