Vol.028小学校のプログラミング教育と教科の接続③
まとめ編

2017.04

 3回目の最終回となりました。既に告示された通り、小学校でプログラミングの活動が必修化されることは決まっていますが、授業の具体的な内容や方法については多くの情報が出ているとはいえず、授業づくりは各学校や先生方の裁量に委ねられることが予想されます。また、少しずつ出されてきた活動例のほとんどについて、内容の検証が十分とはいえない状況があります。まさに今求められているのは、学校現場での検証を重ねていき、具体的な知見を積み上げることです。そこで先生方には、各学校や地域レベルの授業研究等で、プログラミングに関する授業に挑戦していただきたいと思います。

 最後のプログラミングを活用した事例紹介の教科は、国語です。Scratchというプログラミング環境では、「物語の続きをつくる」活動が多く行われています。登場人物の動きや、吹き出しなどのタイミングなどを構成し、手順を考えてプログラムをつくり、作品を発表し合う活動です。子どもたちが楽しみながら、表現ができる内容で、作品として活動の軌跡を残せる点も、先生方には助かります。

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図 Scratch公式ページ公開作品 子どもがつくった物語CC BY-SA 2.0

 また、物語の続きをつくる以外には、漢字の書き順などを自動化するプログラムをつくったり、主語や述語の組み合わせを楽しむプログラミングをつくったりする活動なども実施されています。他の教科に比べて、国語ではプログラミングを取り入れた活動が盛んに行われている状況があります。

 3回にわたり、活動例を中心に書かせていただきました。プログラミングの活動全般で大切にしなければいけないポイントがいくつかあります。1つ目は「観点を分ける」ことです。教科の内容とプログラミングの内容を混ぜて見てしまうと、活動の良さも課題も浮き彫りにはなりません。教科内容とプログラミングは分けて、表現や技術などの観点をもって活動をつくり、振り返ることが有効です。2つ目は「コンピュータは便利なもの」「人間が使うもの」という実感をもたせることです。子どもたち自身が、「コンピュータは自分たちの可能性を広げてくれる道具」と認識できれば、活動の目標は達成されたといえるでしょう。3つ目は、「先生が楽しむ」ことです。プログラミングという言葉が独り歩きしがちですが、子どもたちの既知や既習を元に、活動内容をつくっていただきたいですし、先生方には怖がらずに様々なプログラミング環境に触れて、楽しさや便利さを実感していただきたいと思っています。

 「いきなりは難しい」と思われる先生方も多いと思いますが、有志の先生方でプログラミングを体験する会を実施していますので、「やってみたい」という方がいらっしゃいましたら、著者までお気軽にお問合せください。まずは、「やってみる」。そして「楽しさを実感する」。そのようなところから「プログラミング教育」をはじめていただきたいと思います。

〈教材紹介〉
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国語「Scratch」

 Scratchはブロックをドラッグアンドドロップしてプログラムを組むことができる特徴があり、Web上で動作する(ダウンロードして動作させるバージョンもあり)。つくった作品を公開して盛んに交流が行われている。

東京学芸大学附属竹早小学校教諭
佐藤正範
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