Vol.128「できこぼれ」の子どもへの支援方法

 「私の気持ちをわかってくれる同級生はいない」。
 この発言をした子どもは、勉強が良くでき、スポーツも得意で、周りにも気を配ることができる人物です。授業でもよく周りの子どもをサポートし、友人から慕われ、教員からの信頼も厚い子どもです。なぜ、このような発言にいたったのでしょうか?

○「できこぼれ」
 優秀な子どもが学校内で限られた人数 しかいない場合、友人は作ることができても、意識の高い子ども同士で「高め合う関係」を作ることが難しい場合があります。また、学校の授業は優秀な子どもにだけ焦点を合わすことはできませんから、学習による刺激が少なく、優秀な子どもは孤立し、次第に「できこぼれ」の状態に陥っていくことになります。

○「できこぼれ」の子どもの心情
 冒頭の発言をした子どもは、学校の授業で行っているような“標準レベル”のことは簡単にできるが、“より高いレベル”のことはできていないと自覚していました。
 西林(1995)1は、「知識や仮説を多量に持っている人は、それの意味づけという点でも、わかってないこと、知らないことも、また多量に抱え込んでいる」と述べています。
 しかし、周りの子どもからは「何でもできて良いよね〜」、「悩みなんてないでしょう」などと言われ、自分のも つ悩みを分かち合うことが、同年代の子どもとの関わりにおいては難しかったのです。

○「できこぼれ」の子どもへの支援
 教員は、優秀な子どもが上述したような独特の悩みをもっていることを自覚し、その悩みに寄り添い、関わっていくことが最も重要なことではないでしょうか。たとえば、授業内容を早くに習得することを想定し、別の課題や問いを事前に用意し、提示することが考えられます。また、オンライン化が進んでいることを利用し、授業内容に関連するインターネットサイトの資料に目を通させたり、自学ができるオンライン教材を利用させたりして、子ども自らが学習内容を深められるように提案することも考えられます。
 「優秀な子ども」を「手のかからない子ども」と決めつけず、周りの子どもと違った悩みをもっているという意識をもつことを忘れないようにしたいと思います。

[参考文献]
1西林克彦(1994)『間違いだらけの学習論 なぜ勉強が身につかないか』新曜社

高知県立高知国際高等学校
宇賀 義幸
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