Vol.095感覚の過敏な子への支援

2020.01

 教室にこのようなお子さんはいませんか?
腹痛等の身体症状をよく訴える、保健室へよく行く、ストレスがかかると固まる・落ち着きが無くなる、いつも自信なさそうにしている、行き渋りや不登校傾向、、、
 このような状態像をもつ子ども達について、今回は「感覚の過敏な子への支援」という視点でお話しさせて頂きたいと思います。

 「感覚の過敏な子」と聞くと、発達がアンバランスな子どもによく見られる、聴覚過敏や、触覚過敏等を連想される方も多いと思いますが、「感覚の過敏な子」=「HSC(Highly Sensitive Child)」と呼ばれる子ども達もおり、彼らは「生まれつき繊細さや感性の鋭さ、慎重さを持つ〝とても敏感で感受性が高い子″」と言われています※。また、Highly Sensitiveとは、生まれつきもった気質のことで、本質的には大人になっても変わることがなく、医師によって診断名として付けられるものでもありません。
 彼らは「感性の鋭さや感受性の高さ・豊かさの他にも、想像性に富み、人の気持ちを汲み取ってそれに寄り添ったり、その場の空気をよみとったりするなど、思いやりや共感力・直観力に優れていて、細かい気配りができるなどのとても優れた面を持っています。※」しかし、一方で、彼らの感性と周囲を取り巻く環境(家庭や学校等)との間に不一致が起こった場合、その感受性の高さゆえに不適応状態に陥ってしまうということがあります。

 私が小学校を巡回していて感じる最近のHSCのタイプとしては
①慎重さと思慮深さから、納得する・行動に移すことに時間がかかるタイプ
②刺激(雰囲気、音や声、視覚的な情報等)に対して敏感なタイプ
③低学年では担任や補助教員との間、中学年後半~高学年では友人関係において、その共感力と直観力の鋭さから、コミュニケーション面で疲労しやすいタイプ
が挙げられ、①~③の子ども達は、ストレス反応が出やすく、疲労感を抱えやすいように感じています。HSCにとって、学校はただでさえ刺激の多い環境であるため、本来の気質をプラスに輝かせることにエネルギーを注ぎにくいと言えるのかもしれません。

 では、このようなHSCへの支援はどのようにしたらよいのでしょうか?
まずは関わる大人が、HSCを正しく知ること。
 そして担任は、その子本来の気質とペースを感じ取り、尊重すること。また、不適応状態が少しでも感じられたら、早めに保護者と連絡を取り合い情報共有すること。そして学校組織としては、担任が養護教諭やSCと連携し、子どもが安心安全を校内で感じられる人や場所を確保することだと思います。
 学校は「集団」の場ではありますが、「集団」を形成しているのは「個」であるという視点をHSCは私たちに教えてくれているのかもしれません。

公認心理士 木野 さつき
※(参考文献)斎藤暁子『HSCを守りたい』風鳴舎 2019年
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