Vol.105朝の広場の時間 子どもたちへのメッセージ①

2020.06

 児童を目の前にして語りかける「朝の広場」での校長講話は、子どもたちの反応がダイレクトに返ってくることを期待して、私なりに色々と工夫をしてみました。できるだけ幅広いジャンルから、わかりやすくメッセージを伝えることをモットーに、年間約25回、通算100回ほどの話をしましたが、初めの頃は、大きなスケッチブックを使ったり、実物を持ち込んだりして試行錯誤の日々が続きました。初年度の3学期に、映像を見せながら話すことを試したところ、話を聞く子どもたちの反応に大きな変化があったのを見て、徐々にスライドを見せながら話すスタイルに変えていきました。また、映像を加えることによって、言葉だけでは伝わりにくい内容でも扱えるようになり、年齢差をあまり気にしないで、様々なテーマを設定することができるようになりました。

 映像を使うきっかけになったのは、花びらが赤と白にはっきり分かれた美しい花の発見です。「この驚きと感動を共有するには、大きなスクリーンで見せるしかない」と思い、早速、花の写真(写真1)をもとに話しを考えました(表1)。最終的には、「知らなかったことが分かるって楽しいね」というメッセージをゴールとしましたが、話の進め方については、起承転結などは気にせず、子どもたちの興味が途切れないように組み立てました。また、話の内容に適した写真や動画、イラスト等を、あれこれと差し替えながら、ストーリーを決め、スライドの流れに言葉をのせていくようにしました。それはちょうどメロディーに歌詞を付けていくような感じです。

写真1 スライド7:話のきっかけとなったボケの花のクローズアップ
表1

 話のテーマに沿って進んでいくと、自分でも新しい発見があり、それが準備のモチベーションとなります。この時に見つけためずらしい花は、「源平咲き」というもので、源平合戦の源氏(白旗)、平氏(赤旗)から来ていることを初めて知りました。この場面は文字とイラストで表すこととし、低中学年がイメージしやすいように、運動会の時に紅組・白組に分かれて戦うことも、源平合戦から来ていることを言葉で付け加えました。情報の8割は視覚からと言われていますが、映像を見せなくても、想像できるところや、少し考えてほしいところは、出来るだけ言葉で伝えるようにしました。さらにメッセージに関わる場面では、イラストやクローズアップ写真を使ったり、少しゆっくり話すなどの工夫もしてみました。

東京学芸大学 教授
東京学芸大学附属竹早小学校 前校長
清野泰行
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