Vol.083子どもたちの困難さに寄り添う①
読み書きに困難さがある子の理解

 みなさんは、本を読みながら、あたたかい気持ちになったり、涙がこぼれてきたり、人生へのヒントを得たり、時に、つまらないと感じたり・・・心が動いたことはありますか?

 また、手紙やSNSなどを通して、遠く離れた場所で暮らす人と近況を伝え合ったり、時差を気にせずやりとりしたり、時に、見知らぬ人が書いた記事の内容に感動したことはありますか?

 書き言葉に触れることで、心が動き、大人も子供も、少しずつ世界が広がります。
話し言葉ではあまり使われない言葉や表現に触れることもできます。
そんな素敵な機会が、ご本人の努力とは無関係に少なくなってしまう子がいます。
読み書きに困難さがある子です。

 読み書きに困難さがあると聞いて、どのような子が思い浮かびますか?
これまで、診断があるほどに症状が重い子も含め、読み書きが困難という子に出会ってきましたが、一人ずつ、様子は違いました。読み方もそれぞれでした。「はがはえてきた(歯が生えてきた)」を「わが、わ?あ、はえて、きた、か」のように読み誤りながらたどたどしく読んだり、「火山」を「ふんか」、「医院」を「びょういん」のように意味を頼りに読んだり、正確だけれど読む速度がとてもゆっくりだったりなど、それぞれでした。

 書き方も同様で、文字の形もそれぞれでした(写真1~4参照)。
このような状態になる背景は一人ずつ異なり、いくつもの背景が重なっていることもあります。文字と読みとを組み合わせることに弱さがある子もいれば、文字という形を読みという音へ変換させる力(デコーディング・decoding)に弱さがある子もいます。

 また、形を捉える力が弱いことで、「は」と「ほ」、「草」と「章」のような見た目が似ている文字の読みや書きが難しくなることもあります。

 読みが曖昧なため形との結びつきが曖昧になり、表記が曖昧になることもあります。
加えて、語彙の未熟さも、読みが困難になる背景の1つです。大人でも知らない言葉が多用されている文章を読むと、読みの速度が落ちたり、読み誤ったりするのと似たイメージです。

 しかも、読み書きに困難さがあると、語彙の発達が停滞しやすくなります。なぜなら、学齢期は、話し言葉と書き言葉とが相互に影響を与え合いながら、語彙を含めた言葉全体が発達していくからです(図1参照)。

 ですから、支援を考えていくときに大切にしていることが3点あります。

  1. 読み書きが困難になる背景は1つではないという前提で実態を捉える。
  2. 読み書きを含めた言葉全体の発達を促すという視点に立つ。
  3. 根拠をもとにオーダーメイドの支援を考えていく。です。

次回は、具体的な支援についてご紹介します。

DIVERSE ・ダイバースことばの発達支援 ・学習支援室
松浦 千春
参考文献
大石敬子(2001)・ことばの障害の評価と指導・大修館書店
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